第2石油類の覚え方!引火点や性状をチェック危険物第4類
第2石油類とは、1気圧において引火点が21℃以上70℃未満のものをいいます。
灯油、軽油、キシレンなど非水溶性のものと、酢酸など水溶性のものがあります。
【第2石油類】
- 灯油
- 軽油
- キシレン(C₆H₄(CH₃)₂)
- クロロベンゼン(C₆H₅Cl)
- 1‐ブタノール(CH₃(CH₂)₃OH)
- 酢酸(CH₃COOH)
- アクリル酸(CH₂=CHCOOH)
危険物第4類の第2石油類➀灯油
- 無色または淡黄色で、経年変化により黄褐色のものもあり、特有の臭気を放つ。
- 比重:約0.8
- 沸点:145℃~270℃
- 引火点:40℃以上
- 発火点:約220℃
- 燃焼範囲:1.1~6.0vol%
- 蒸気比重:4.5
- 引火しやすくなり危険であるため、灯油にガソリンを混合してはならない。
- 霧状にして空気中に浮遊すると、空気との接触面積が広くなるため、引火しやすくなる。
- 電気の不導体で流動により静電気が発生しやすい。
危険物第4類の第2石油類②軽油
- 精製直後は無色であるが、出荷前に精製会社により淡黄~淡褐色や薄緑色に着色されていることがある。
- 石油臭がある。
- 比重:約0.85
- 沸点:170~370℃
- 引火点:45℃以上
- 発火点:約220℃
- 燃焼範囲:1.0~6.0vol%
- 蒸気比重:4.5
- 発火する危険があるため、軽油に第1類危険物を触れさせたり、第6類危険物を混入してはならない。
- 電気の不導体で、流動により静電気が発生しやすい。
危険物第4類の第2石油類③キシレン(C₆H₄(CH₃)₂)
- 無色で芳香族特有の臭いがある。
- 比重:約0.9
- 沸点:138~144℃(異性体により異なる)
- 引火点:約32℃
- 発火点:約464℃
- 燃焼範囲:0.9~7.0vol%
- 蒸気比重:3.7
- 3種の異性体(オルトキシレン、メタキシレン、パラキシレン)が存在する。
- 水には溶けず、二硫化炭素、エタノール、ジエチルエーテルなどに溶ける。
- 蒸気には毒性がある。
危険物第4類の第2石油類④クロロベンゼン(C₆H₅Cl)
- 特徴的な臭気のある、無色の液体
- 比重:約1.1
- 沸点:132℃
- 引火点:約28℃
- 発火点:約464℃
- 燃焼範囲:1.3~10vol%
- 蒸気比重:3.9
- 水には溶けず、アルコール、エーテルなどに溶ける。
危険物第4類の第2石油類⑤1‐ブタノール(CH₃(CH₂)₃OH)
- 無色で刺激的な発酵した臭い
- 比重:約0.8
- 沸点:117℃
- 凝固点(融点):-90℃
- 引火点:35~37.8℃
- 発火点:約343~401℃
- 燃焼範囲:1.4~11.2vol%
- 蒸気比重:2.6
- n(ノルマル)‐ブチルアルコールともいう。炭素数が4個であるため、法令上の「アルコール類」には該当しない。
- 4種の異性体があり、1‐ブチルアルコールはその1つ
- 水に少し溶ける(わずかに溶ける程度)、各種の有機溶剤によく溶ける。
- 1‐ブタノールを酸化すると、ブチルアルデヒドおよび酪酸になる。またブチルアルデヒドを還元(水素化)すると1‐ブタノールが得られる。
- 触れると皮膚や眼などの粘膜を刺激し、薬傷を起こす。加熱や燃焼により刺激性で腐食性のある有毒なガスを発生する。
- 消火には、耐アルコール泡消火剤、粉末消火剤、水系消火剤(霧状)が有効である。
危険物第4類の第2石油類⑥酢酸(CH₃COOH)
- 無色で刺激臭であり、弱酸
- 比重:1.05
- 沸点:118℃
- 凝固点(融点):17℃
- 引火点:39~41℃
- 発火点:約463℃
- 燃焼範囲:4.0~19.9vol%
- 蒸気比重:2.1
- アセトアルデヒドの酸化により得られる。
- 純度96%以上のものは、17℃以下で氷状に結晶することから、氷酢酸という。
- 強い腐食性がある有機酸で、水溶液はコンクリートを腐食する。またアルミニウムなどの一部金属を除き、多くの金属を腐食して可燃性ガス(水素)を発生する。
- 水溶性でジエチルエーテル(エーテル)、エタノール(アルコール)、ベンゼンなどの有機溶剤にも溶ける。
- アルコールROHと反応すると、酢酸エステルCH₃COORを生成する。(Rは炭化水素)
- 酢酸エチルCH₃COOC₂H₅は酢酸エステルの代表例である。
- 食酢は酢酸濃度3~6%の水溶液
- 青い炎をあげて燃焼し、二酸化炭素と水(水蒸気)を発生する。
危険物第4類の第2石油類⑦アクリル酸(CH₂=CHCOOH)
- 無色で酢酸に似た刺激臭をもつ
- 比重:1.05
- 沸点:141℃
- 融点:13~13.5℃
- 引火点:51℃
- 発火点:約438℃
- 燃焼範囲(爆発範囲):3.9~20vol%
- 水やエーテル、アルコールなどと任意の割合で混じり合う
- 非常に重合しやすいため、重合防止剤を加えて貯蔵する。また重合に伴い発熱し、その重合熱は1076kJ/㎏である。(発火・爆発事故の事例あり)
- 重合しやすくなる条件として、➀加熱・光などの影響、②高温体・酸化性物質・過酸化物・アルカリ溶液・鉄さびとの接触や混触などがある。
- 融点が高いため凝固しやすいが、凝固したものを溶解させる際の温度設定を間違えると、重合や引火の可能性があるため、凝固させないように保管する。
- 強い腐食性があり、皮膚に触れると火傷を起こし、また濃い蒸気を吸入すると粘膜を刺激して炎症を起こす。
- 容器は、ガラス、ステンレス鋼、アルミニウム、ポリエチレンなどで被覆されたものを使用する。また取扱い時は保護具を使用する。
このほか、第1、第3、第4石油類などについては、以下の記事をご確認ください。
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第2石油類の危険物第4類乙4対策!過去問例題
それでは第2石油類に関する乙4過去問例題を解いてみましょう。
第4類第2石油類の問題1 第2石油類の性状について
次のうち誤っているものはどれか。
- 霧状の場合は、引火点以下の温度でも着火する場合がある。
- 蒸気比重は1より大きい。
- 水溶性のものはない。
- 発火点は100℃を超える。
- 15℃で凝固するものがある。
解答3
【解説】
酢酸やアクリル酸は水溶性である。
第4類第2石油類の問題2 灯油と軽油の性状について
次のうち正しいものはどれか。
- ともに精製したものは無色であるが、軽油はオレンジに着色されている。
- 灯油は一種の植物油であり、軽油は石油製品である。
- ともに電気の不導体で、流動により静電気が発生しやすい。
- ともに第3石油類に属する。
- ともに液温が常温(20℃)付近のときでも引火する。
解答3
【解説】
1.灯油は無色または淡黄色で、軽油は無色または精製会社により着色されていることがある。オレンジに着色されているのは、自動車ガソリンである。
2.灯油と軽油は、いずれも原油の蒸留で得られる石油製品である。よって各種炭化水素の混合物である。
4.ともに第2石油類に属する。
5.引火点は灯油が40℃以上で、軽油が45℃以上であり、いずれも常温(20℃)では引火しない。
第4類第2石油類の問題3 キシレンの性状
次のうち誤っているものはどれか。
- 無色透明の液体である。
- 4つの異性体がある。
- 塗料などの溶剤として使用されてる。
- 沸点は水より高い。
- 引火点は40℃未満である。
解答2
【解説】
キシレンの異性体は、オルトキシレン、メタキシレン、パラキシレンの3つである。
第4類第2石油類の問題4 クロロベンゼンの性状
次のうち正しいものはどれか。
- 比重は1より大きい。
- 無色無臭の液体である。
- 燃焼範囲は6.0~36vol%である。
- 水によく溶ける。
- 蒸気比重は1より小さい。
解答1
【解説】
1.比重は約1.1で1より大きい(正しい)
2.特徴的な臭気のある無色の液体
3.燃焼範囲は約1.3~10vol%である。
4.水には溶けない。
5.蒸気比重は3.9で1より大きい。
第4類第2石油類の問題5 1‐ブタノールの性状
次のうち誤っているものはどれか。
- 参加すると、ブチルアルデヒドおよび酪酸になる。
- 皮膚や眼を刺激し、薬傷を起こす。
- 燃焼範囲は1.4~11.2vol%である。
- 水に可溶である。
- 引火点、発火点は軽油とほぼ同じである。
解答5
【解説】
引火点⇒1‐ブタノール…35~37.8℃、軽油…45℃以上
発火点⇒1‐ブタノール…約343~401℃、軽油…約220℃
第4類第2石油類の問題6 酢酸の性状について
次のうち誤っているものはどれか。
- 一般に、高純度のものは氷酢酸と呼ばれ、約15~16℃以下で個体になる。
- 刺激臭を有する無色透明の液体である。
- 常温(20℃)で引火する危険性がある。
- 青い炎をあげて燃焼し、二酸化炭素と水蒸気になる。
- 水溶液は腐食性を有する。
解答3
【解説】
酢酸の引火点は39~41℃であり、常温(20℃)では引火しない。
第4類第2石油類の問題7 アクリル酸の性状について
妥当なものは次のうちどれか。
- 赤褐色の液体である。
- 比重は1より小さい。
- 無臭である。
- 重合反応を起こしやすい。
- 水に溶けない。
解答4
【解説】
1.無色の液体である。
2.比重は1.05で1より大きい。
3.酢酸に似た刺激臭を有する。
5.水、エーテル、アルコールなどに任意の割合で溶ける。
第2石油類の覚え方!引火点や性状をチェック危険物第4類まとめ
【第2石油類】
- 灯油
- 軽油
- キシレン(C₆H₄(CH₃)₂)
- クロロベンゼン(C₆H₅Cl)
- 1‐ブタノール(CH₃(CH₂)₃OH)
- 酢酸(CH₃COOH)
- アクリル酸(CH₂=CHCOOH)
☑第2石油類とは、1気圧において引火点が21℃以上70℃未満のもの
☑灯油、軽油、キシレンなど非水溶性のものと、酢酸など水溶性のものがある
☑それぞれの性状や特徴をまとめてチェック!
☑過去問にも挑戦してみよう!
以上です。
ありがとうございました。
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