危険物施設(製造所等)の種類と設置の手続きについて解説していきます。
危険物施設(製造所等)の種類
指定数量以上の危険物を貯蔵、取り扱うことができる危険物施設のすべてを消防法では製造所等とよび、施設の設置や管理を厳格に規定しています。
また製造所等には、製造所、貯蔵所、取扱所の種類があります。
指定数量以上の危険物は貯蔵所以外の場所で貯蔵してはいけません。さらに製造所等以外の場所で取り扱うことも禁止です。
施設区分 | 施設の概要 |
製造所 | 危険物を製造する施設で、1日に指定数量以上のの危険物を取り扱う施設 【関連記事】 ②製造所★危険物を製造する施設の構造と設備 |
貯蔵所 | 指定数量以上の危険物を貯蔵し、または取り扱う施設 |
取扱所 | 1日に指定数量以上の危険物を加工、給油、販売、移送、その他で取り扱う施設 |
※危険物の指定数量
種別 | 品名 | 性質 | 指定数量 |
第1類 | 第1種酸化性固体 | 50㎏ | |
第2種酸化性固体 | 300㎏ | ||
第3種酸化性固体 | 1,000㎏ | ||
第2類 | 硫化りん | 100㎏ | |
赤りん | |||
硫黄 | |||
第1種可燃性固体 | |||
鉄粉 | 500㎏ | ||
第2種可燃性固体 | 500㎏ | ||
引火性固体 | 1,000㎏ | ||
第3類 | カリウム | 10㎏ | |
ナトリウム | |||
アルキルアルミニウム | |||
アルキルリチウム | |||
第1種自然発火性物質および禁水性物質 | |||
黄りん | 20㎏ | ||
第2種自然発火性物質および禁水性物質 | 50㎏ | ||
第3種自然発火性物質および禁水性物質 | 300㎏ | ||
第4類 | 特殊引火物 | 50L | |
第一石油類 | 非水溶性 | 200L | |
水溶性 | 400L | ||
アルコール類 | 400L | ||
第二石油類 | 非水溶性 | 1,000L | |
水溶性 | 2,000L | ||
第三石油類 | 非水溶性 | 2,000L | |
水溶性 | 4,000L | ||
第四石油類 | 6,000L | ||
動植物油類 | 10,000L | ||
第5類 | 第1種自己反応性物質 | 10㎏ | |
第2種自己反応性物質 | 100㎏ | ||
第6類 | 300㎏ |
製造所等の施設は製造所と7種の貯蔵所、4種類の取扱所に分けられます。
それぞれの消防法によって、構造や設備が規定されています。
危険物施設 | 製造所 | ※詳細は第4章(以下リンク) ②製造所★危険物を製造する施設の構造と設備 |
貯蔵所 | 屋内貯蔵所、屋外タンク貯蔵所、屋内タンク貯蔵所、地下タンク貯蔵所、簡易タンク貯蔵所、移動タンク貯蔵所、屋外貯蔵所 | |
取扱所 | 給油取扱所、販売取扱所、移送取扱所、一般取扱所 |
一方、消防法の適用除外となるものも存在します。
指定数量以上の危険物の運搬や貯蔵、取扱いであっても、船舶や航空機、軌道(列車)は消防法の適用外になります。
それらは別途、船舶安全法や航空法、鉄道営業法など消防法以外の法律で取扱いが規定されているからです。
また指定数量未満の危険物の貯蔵・取扱いに関しては、市町村が定める条例によって規制されます。
ただし、指定数量みまんであっても、運搬に関しては消防法で規制されますのでご注意ください。
製造所等★危険物施設設置の手続き
製造所等を設置したり、変更(位置・構造・設備の変更や増改築)するときは、工事開始前に市町村等に申請して許可を受けなければなりません。
そして工事完成後に市町村等が行う完成検査を受け、完成検査済証の交付を受けた後でなければ使用できないルールとなっています。
市町村等 | 消防本部および消防署を置いている地域では市町村長、置いていない地域ではその都道府県知事、2以上の都道府県にわたって設置される場合は総務大臣になる。 |
仮使用について
製造所等の変更を行うとき、変更工事を行わない施設の部分を完成検査前に使用することを仮使用といいます。
仮使用にあたっては、市町村長等の承認を得なければなりません。
譲渡や廃止について
製造所等の譲渡や用途の廃止、あるいは貯蔵、取り扱う危険物の種類や指定数量の倍数を変更するときは、市町村長等への届け出が必要になります。
手続き | 内容 | 詳細 | 申請先 |
許可 | 設置 | 製造所等を設置する | 市町村等 |
変更 | 製造所等の位置・構造または設備の変更 | ||
承認 | 仮貯蔵 仮取扱 | 指定数量以上の危険物を10日以内の期間、仮に貯蔵し取り扱う | 消防長 消防署長 |
仮使用 | 変更部分以外の全部または一部を仮に使用する場合 | 市町村等 | |
認可 | 予防規程を作成・変更した場合 | ||
届け出 | 【遅滞なく】 ➀譲渡または引渡 ②用途を廃止 ③危険物保安統括管理者・保安監督者の選任または解任 【10日前まで】 危険物の品名・数量または指定数量の倍数の変更 |
- 製造所等を設置するときは、市町村等に許可を受ける。製造所等の位置・構造または設備を変更するときも同様。
- 変更部分以外の全部または一部を仮に使用する場合を仮使用と言い、市町村等に承認を受ける。
- 譲渡または引渡しをしたときは、遅滞なく、市町村等に届け出をする。
- 危険物の品名・数量または指定数量の倍数の変更は10日までに市町村等へ届け出する
- 用途を廃止したときは、遅滞なく市町村長等へ届け出する
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