危険物取扱者乙4試験に出題される計算問題を集めました。
解説後に例題もありますのでぜひチャレンジしてみてください。
危険物取扱者乙4の計算問題をまとめてチェック!
- 指定数量
- 熱化学式
- 熱膨張(ボイル・シャルル)
- 原子の比重
- 比熱
- mol数の計算
指定数量の計算問題!危険物取扱者乙4対策
指定数量は、危険物の品目ごとに定められた数量で、指定数量以上の危険物は貯蔵所以外の場所では貯蔵できず、製造所等以外の場所で取り扱うことはできません。
貯蔵や取扱い危険物の指定数量の倍数が1以上の場合は、消防法や危険物の規制に関する政令などの適用を受けます。
言葉の定義 | |
危険物の規則に関する政令 | 市町村の火災予防条例 |
以上 | 未満 |
以上、以下は、数値を含む 例:200以上⇒200を含む (200、201…) | を超える、未満は数値を含まない 例:200未満⇒200を含まない (199、198…) |
貯蔵・取扱い危険物が1種類の時の倍数は、
倍数=危険物の取扱数量÷危険物の指定数量
貯蔵・取扱い危険物が複数種類のときの倍数は、
倍数=(➀の取扱数量÷➀の指定数量)+(②の取扱数量÷②の指定数量)+(③の取扱数量÷③の指定数量)+(④の取扱数量÷④の指定数量)+…
となります。
また、指定数量が異なる2以上の危険物を貯蔵し、または取り扱う場合、指定数量の倍数を計算して、その倍数が1以上であれば、当該場所は指定数量以上を貯蔵、取り扱っているものとみなされます。
それでは、倍数の計算をやってみましょう。
【例題1】次の危険物を、 同一場所で貯蔵する場合、 指定数量の倍率を求めなさい。
アセトン 800リットル
氷酢酸 2,000リットル
二硫化炭素 500リットル
エタノール 1,200リットル
(1)14 (2)15 (3)16 (4)17 (5)18
(3)
【解説】
アセトン⇒800/400=2
氷酢酸⇒2,000/2,000=1
二硫化炭素⇒500/50=10
エタノール⇒1200/400=3
2+1+10+3=16
第4類の区分 | 代表的な品名 | 指定数量(L) | ||
特殊引火物 (危険等級Ⅰ) | 非水溶性 | 二硫化炭素 | 50 | |
水溶性 | ジエチルエーテル (エーテル) | |||
石油類 | 第一石油類 (危険等級Ⅱ) | 非水溶性 | ガソリン、ベンゼン、トルエン | 200 |
水溶性 | アセトン | 400 | ||
第二石油類 (危険等級Ⅲ) | 非水溶性 | 灯油、軽油、キシレン | 1,000 | |
水溶性 | 氷酢酸(酢酸) | 2,000 | ||
第三石油類 (危険等級Ⅲ) | 非水溶性 | 重油、クレオソート油 | 2,000 | |
水溶性 | グリセリン、エチレングリコール | 4,000 | ||
第四石油類 (危険等級Ⅲ) | ギヤ―油、シリンダー油などの潤滑油 | 6,000 | ||
アルコール類(危険等級Ⅱ) | メチルアルコール(メタノール)、エチルアルコール(エタノール) | 400 | ||
動植物油類(危険物等級Ⅲ) | 動物の脂肉、植物の種子などの脂肪油 ヤシ油、アマニ油、菜種油、キリ油 | 10,000 |
【例題2】次の危険物を、同一場所で貯蔵する場合、指定数量の倍率を求めなさい。
重油 1,000リットル
軽油 2,000リットル
ガソリン 600リットル
灯油 1,500リットル
(1)6.0 (2)7.0 (3)8.0 (4)9.0 (5)10.0
(2)
【解説】
重油⇒1,000/2,000=0.5
軽油⇒2,000/1,000=2
ガソリン⇒600/200=3
灯油⇒1,500/1,000=1.5
0.5+2+3+1.5=7
第4類の区分 | 代表的な品名 | 指定数量(L) | ||
特殊引火物 (危険等級Ⅰ) | 非水溶性 | 二硫化炭素 | 50 | |
水溶性 | ジエチルエーテル (エーテル) | |||
石油類 | 第一石油類 (危険等級Ⅱ) | 非水溶性 | ガソリン、ベンゼン、トルエン | 200 |
水溶性 | アセトン | 400 | ||
第二石油類 (危険等級Ⅲ) | 非水溶性 | 灯油、軽油、キシレン | 1,000 | |
水溶性 | 氷酢酸(酢酸) | 2,000 | ||
第三石油類 (危険等級Ⅲ) | 非水溶性 | 重油、クレオソート油 | 2,000 | |
水溶性 | グリセリン、エチレングリコール | 4,000 | ||
第四石油類 (危険等級Ⅲ) | ギヤ―油、シリンダー油などの潤滑油 | 6,000 | ||
アルコール類(危険等級Ⅱ) | メチルアルコール(メタノール)、エチルアルコール(エタノール) | 400 | ||
動植物油類(危険物等級Ⅲ) | 動物の脂肉、植物の種子などの脂肪油 ヤシ油、アマニ油、菜種油、キリ油 | 10,000 |
熱化学式の計算問題!危険物取扱者乙4対策
物質の温度が変化するとき、物質に蓄えられる、または放出される熱の大きさを熱量と言います。
そして発熱量=物体の質量×熱量で計算します。
熱量 | 物体を希望の温度に上げるのに必要な熱エネルギー量 単位はJ(ジュール)で水1gを1℃上昇させるのに必要な熱量は4.2J 熱量(J)=比熱(J/(g・K))×重さ(g)×温度差(K) 熱量が大きくなる条件(上記式参照) ➀比熱が大きい ②質量が大きい ③温度差が大きい |
熱容量 | ある物体の温度を1K(1℃)上げるのに必要な熱量 熱容量(C)=比熱(c)×質量(m) |
【例題】酸化反応を熱化学方程式で表したとき、 次のうちxに最も近い値はどれか。 ただし、メタン 1g が完全に燃焼すると、 56kJの熱が発生するものとする。 又、メタンの分子量は16とする。
CH₄+2O₂ =CO₂ +2H₂O + x [kJ]
- 54
- 896
- 1520
- 2,124
- 2,652
2
【解説】
メタン(CH₄)1gが燃えて56kJの熱が発生する場合、CH₄(分子量16)16gが燃えると発熱量は56×16=896kJとなる。
また、完全燃焼とは、燃焼物に酸素を与えることで、二酸化炭素と水が生成されます。
燃焼物は構成原素がC、H、Oから成るメタンやメタノールなどが当てはまります。
メタンの式を考えてみましょう。
CH₄ +★O₂ → CO₂+△H₂O
しかし、このような右辺と左辺の原子数が揃っていない化学反応式は右辺と左辺の原子数を等しくする必要があります。
左辺の原子数 | 右辺の原子数 |
Cの数=1 Hの数=4 Oの数=2 | Cの数=1 Hの数=2 Oの数=3 |
HとOの数が違うので、同じになるように考えると、以下の式になります。
CH₄ +2O₂→ CO₂ +2H₂O
左辺のO₂に2を追加して、右辺のH2Oを2を追加することで左辺と右辺が揃いました。
よって上記の式で、メタンの完全燃焼の化学方程式が完成します。
【例題】
メタノールが完全燃焼したときの化学反応式について次の( )内の①、②に当てはまる数字と化学方程式として、正しいものを選びなさい。
【2CH3OH + (①)O2 → 2(②)+ 4H2O】
(1) ① 2 ② CO₂
(2) ① 2 ② CO
(3) ① 3 ② CH₄
(4) ① 3 ② HCHO
(5) ① 3 ② CO₂
5
【解説】
完全燃焼は、燃焼物に酸素を与えると、二酸化炭素と水を生成される現象。
よって②は二酸化炭素になるので、② CO₂
つづいて両辺の数をそろえていく。
右辺のOの数は8個で、左辺のOの数は4個。
したがって右辺と合わせるために① 3となる
熱膨張(ボイル・シャルル)の計算問題!危険物取扱者乙4対策
物質の熱が移動することで起こる物理変化のひとつが熱膨張です。
そして物質の温度が1℃上がったときの物質の体積や長さの増加率を「膨張率」といいます。
第4類危険物の貯蔵において、容器の上部に十分な空間を残しておくのは、熱膨張による容器の破損を防ぐためです。
そして、気体の膨張は【ボイル・シャルルの法則】で表します。
【ボイル・シャルルの法則】
圧力×体積/絶対温度(K)=一定
PV/T=P’V’/T’(P=圧力、V=体積、T=温度)
絶対温度の0K=‐273℃、絶対温度の273K=0℃
また体膨張率や膨張分体積については以下の計算式で表します。
体膨張率=1℃上昇時の増加体積/元の体積
膨張分体積=元の体積×体膨張率×温度差
で計算できます。
例えば、ガソリンの体膨張率を0.00135(K⁻¹)として、ガソリン200Lが10℃温度上昇したとすると、
200(L)×0.00135×10℃=2.7(L)となり、
2.7L分が膨れてしまうという形になります。
それではさっそく例題にチャレンジ!
【例題】液温20°Cのガソリン 10,000L を温めたら、 10,200L になった。 このときの液温として、次のうち最も近い値はどれか。 ただし、 ガソリン の体膨張率を0.00135 [K⁻¹]とする。
- 20℃
- 25℃
- 30℃
- 35℃
- 40℃
4
【解説】
体膨張率0.00135 [K⁻¹]は、「1L(リットル)が1℃温度上昇すると0.00135L膨張する」という意味。よってガソリン10,000Lを何度(ΔT)温度上昇させれば200L膨張するか求めると、計算式は以下のとおり。
0.00135×10,000×ΔT=200
よってΔT=14.8℃、その時の液温は20℃+14.8℃=34.8℃となる。
比重の計算問題!危険物取扱者乙4対策
物質の質量を同じ体積の水の質量の何倍にあたるかを表した値が、水比重(単に比重ともいう)といいます。
比重=物質の重さ(g)/同体積の水の重さ(g)
また気体の質量が、同じ体積の空気の質量の何倍にあたるかを表す値が蒸気比重です。
蒸気比重=蒸気の重さ(g)/同体積の空気の重さ(g)
数値が1より大きい場合、それぞれ水または空気より重いことを示します。
- 標準の水の比重は1で、4℃のとき、比重が一番大きい
- 標準の空気における蒸気比重は1で、第4類の蒸気比重はすべて1以上で空気より重い
- 二酸化炭素は空気より重い
- 一酸化炭素は空位より軽い
例題で比重の計算をやってみましょう。
【例題】次の気体で、最も比重の大きいものはどれか。
ただし、 原子量はC=12、 H= 1, O= 16 とする。
1 水素(H2)
2 メタン (CH4)
3 アセチレン(CH)
4 酸素(O2)
5 二酸化炭素(CO2)
5
【解説】
1 水素1×2=2
2 メタン12+1×4=16
3 アセチレン12×2+1×2=26
4 酸素16×2=32
5 二酸化炭素12+16×2=44
よって二酸化炭素が最も比重が大きい。
比熱の計算問題!危険物取扱者乙4対策
物質の温度が変化するとき、物質に蓄えられる、または放出される熱の大きさを熱量と言います。
また物質の温まりやすさを表す数値が比熱です。
比熱が小さいものほど温まりやすく冷めやすいため、危険物では発火や消火のしやすさに大きく関わります。
比熱 | 物質1gの温度を1K(1℃)だけ上昇するのに必要な熱量 水の比熱は4.2 |
熱量 | 物体を希望の温度に上げるのに必要な熱エネルギー量 単位はJ(ジュール)で水1gを1℃上昇させるのに必要な熱量は4.2J 熱量(J)=比熱(J/(g・K))×重さ(g)×温度差(K) 熱量が大きくなる条件(上記式参照) ➀比熱が大きい ②質量が大きい ③温度差が大きい |
熱容量 | ある物体の温度を1K(1℃)上げるのに必要な熱量 熱容量(C)=比熱(c)×質量(m) |
【例題】比熱が2.5J / (g・K) の液体 200gの温度を10°Cから50°Cまで上昇させるために必要な熱量は、次のうちどれか。
1 5kJ
2 10kJ
3 15kJ
4 20kJ
5 25kJ
4
比熱はある物質1gを1℃温度上昇させるのに必要な熱量
物質200gの温度を40℃(10℃から50℃に)上昇させるための熱量は、以下のとおり。
比熱(2.5J/(g・K))×200g×40℃=20,000J=20kJ
mol数の計算問題!危険物取扱者乙4対策
molとは、原子や分子の数 が 【6.02 × 10²³ 】集まったものを 1molとし、物体それぞれでmol数が決まっています。
例)
H(水素)→1molあたり1g
O(酸素)→1molあたり16g
C(炭素)→1molあたり12g
【例題】CO2(二酸化炭素)が1molあたり何gなのか求めなさい。
1 11mol
2 22mol
3 33mol
4 44mol
5 55mol
4
【解説】
CO2= C × 1 + O × 2
= 12 × 1 + 16 × 2
= 44 g
危険物乙4の計算問題をチェック!危険物取扱者ポイントまとめ
✔危険物乙4の計算問題で抑えておきたい項目
- 指定数量
- 熱化学式
- 熱膨張(ボイル・シャルル)
- 原子の比重
- 比熱
- mol数の計算
以上です。
試験がんばってください!(^^)!
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