危険物の指定数量以上の保管について知りたい
今回のテーマは「危険物の指定数量以上の保管」についてです。
計算方法や仮貯蔵・仮取扱いについてまとめました。
危険物の指定数量以上の保管について!計算と仮貯蔵・仮取扱い
危険物の指定数量以上の保管について解説していきます。
危険物の指定数量以上の保管➀計算方法
指定数量とは、危険物の品目ごとに定められた数量で、指定数量以上の危険物は貯蔵所以外の場所では貯蔵できず、製造所等以外の場所で取り扱うことはできません。
貯蔵や取扱い危険物の指定数量の倍数が1以上の場合は、消防法や危険物の規制に関する政令などの適用を受けます。
言葉の定義 | |
危険物の規則に関する政令 | 市町村の火災予防条例 |
以上 | 未満 |
以上、以下は、数値を含む 例:200以上⇒200を含む (200、201…) | を超える、未満は数値を含まない 例:200未満⇒200を含まない (199、198…) |
貯蔵・取扱い危険物が1種類の時の倍数は、
倍数=危険物の取扱数量÷危険物の指定数量
貯蔵・取扱い危険物が複数種類のときの倍数は、
倍数=(➀の取扱数量÷➀の指定数量)+(②の取扱数量÷②の指定数量)+(③の取扱数量÷③の指定数量)+(④の取扱数量÷④の指定数量)+…
となります。
また、指定数量が異なる2以上の危険物を貯蔵し、または取り扱う場合、指定数量の倍数を計算して、その倍数が1以上であれば、当該場所は指定数量以上を貯蔵、取り扱っているものとみなされます。
それでは、倍数の計算をやってみましょう。
ガソリン160L(指定数量200L)、灯油3,000L(指定数量1,000L)、重油5,000L(指定数量1,000L)のとき、倍数を求めなさい。
倍数=(160/200)+(3,000/1,000)+(5,000/1,000)=0.8+3+5=8.8
A. 8.8倍
倍数計算は試験で出題頻度高めなので、必ずチェックしておきましょう。
危険物の指定数量以上の保管②仮貯蔵・仮取扱い
仮貯蔵・仮扱いとは、製造所等以外の施設でも、消防長・消防署長の承認を受ければ、10日以内の期間に限り、指定数量以上の危険物を貯蔵し、取り扱うことができることを指しています。
「承認」という言葉を使うのは、仮貯蔵・仮取扱・仮使用の場合のみです。
【第4類危険物の主な品目と指定数量】
第4類の区分 | 代表的な品名 | 指定数量(L) | ||
特殊引火物 (危険等級Ⅰ) | 非水溶性 | 二硫化炭素 | 50 | |
水溶性 | ジエチルエーテル (エーテル) | |||
石油類 | 第一石油類 (危険等級Ⅱ) | 非水溶性 | ガソリン、ベンゼン、トルエン | 200 |
水溶性 | アセトン | 400 | ||
第二石油類 (危険等級Ⅲ) | 非水溶性 | 灯油、軽油、キシレン | 1,000 | |
水溶性 | 氷酢酸(酢酸) | 2,000 | ||
第三石油類 (危険等級Ⅲ) | 非水溶性 | 重油、クレオソート油 | 2,000 | |
水溶性 | グリセリン、エチレングリコール | 4,000 | ||
第四石油類 (危険等級Ⅲ) | ギヤ―油、シリンダー油などの潤滑油 | 6,000 | ||
アルコール類(危険等級Ⅱ) | メチルアルコール(メタノール)、エチルアルコール(エタノール) | 400 | ||
動植物油類(危険物等級Ⅲ) | 動物の脂肉、植物の種子などの脂肪油 ヤシ油、アマニ油、菜種油、キリ油 | 10,000 |
石油における指定数量は、非水溶性に対して水溶性は2倍になっていると覚えておくと良いです。
指定数量以上の危険物を貯蔵・保管できる施設
製造所 | 危険物を製造する施設 |
貯蔵所 | 危険物を大きい指定倍数で扱う施設 (タンクターミナル保管、危険物倉庫、タンクローリーなど) |
取扱所 | 危険物を小さい指定倍数で扱う施設 (ガソリンスタンド、灯油、車のオイル等の販売店、車の整備工場) |
危険物を大きい指定数量で扱うため、様々な規制が伴います。
- 施設保安員・保安統括管理者の選任義務指定倍数に合わせた保有空地の確保
- 避雷針の設置
- 標識、掲示板の設置
- 消化設備の設置
- 危険物以外の物品と同時貯蔵は出来ない
- 貯蔵・取扱の危険物の種類数量の各種届出の申請義務
- 位置・構造・設備の技術上の基準の遵守義務
- 危険物取扱者(有資格者)による取扱(立会い)義務
- 危険物保安監督者の選任義務
- 定期点検の実施義務
- 保安検査の受検義務
- 予防規程の作成義務
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危険物の指定数量以上の保管!計算と仮貯蔵・仮取扱いまとめ
危険物の指定数量以上の保管・貯蔵についてのまとめです。
➀貯蔵・取扱い危険物が1種類の時の倍数
倍数=危険物の取扱数量÷危険物の指定数量
②貯蔵・取扱い危険物が複数種類のときの倍数
倍数=(➀の取扱数量÷➀の指定数量)+(②の取扱数量÷②の指定数量)+(③の取扱数量÷③の指定数量)+(④の取扱数量÷④の指定数量)+…
仮貯蔵・仮扱いとは、製造所等以外の施設でも、消防長・消防署長の承認を受ければ、10日以内の期間に限り、指定数量以上の危険物を貯蔵し、取り扱うことができることを指している
☑危険物の指定数量以上の保管ができる施設
製造所 | 危険物を製造する施設 |
貯蔵所 | 危険物を大きい指定倍数で扱う施設 (タンクターミナル保管、危険物倉庫、タンクローリーなど) |
取扱所 | 危険物を小さい指定倍数で扱う施設 (ガソリンスタンド、灯油、車のオイル等の販売店、車の整備工場) |
以上です。
ありがとうございました。
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