自然発火とは?危険物の現象や物質をわかりやすく解説(乙4対策過去問付き)

自然発火★危険物 乙4Webテキスト

今回のテーマは【自然発火】

現象や危険物乙4試験でおさえておきたいポイントをまとめました。

さらに過去問も併せて載せておきますのでぜひチャレンジしてみてください。

自然発火とは?危険物の現象や物質をわかりやすく解説

自然発火は、点火源がない状態、 または可燃物が加熱されていない状態であっても、その熱が長時間蓄積されることで 物質が常温の空気中で自然に発熱し、燃焼を起こす現象です。

熱が発生する機構の種類は以下のとおり。

  • 酸化による発熱
  • 化学的な分解による発熱
  • 発熱、発酵による発熱
  • 吸着による発熱

そして発熱の機構ごとに発熱する物質をまとめました。

➀酸化による発熱乾性油(アマニ油、キリ油等)、原綿、石炭、ゴム粉、鉄粉など

※カリウム、ナトリウムなどの第3類危険物は、リチウムを除き、ほとんどが空気中にあると酸化して自然発火する。
アルキルアルミニウムは発火性を有するため、-50℃以下でも空気と酸化反応を起こして自然発火する。
②分解による発熱セルロイド、ニトロセルロース(第5類危険物)など
③発酵による発熱堆肥、ゴミ、ほし草、ほし藁など
④吸着による発熱活性炭、木炭粉末(脱臭剤)など
⑤その他の発熱エチレンがポリエチレンに重合する際の重合反応熱など

自然発火する動植物油類(第4類危険物)乾性油

ポイントはこんな感じ(^^)/

  • 動植物油類(第4類危険物)の自然発火は、油類が空気中で酸化され、その酸化熱が蓄積されることで発生する。
  • 油類の酸化は乾きやすいものほど起こりやすい。乾性油は乾きやすく、空気中で徐々に酸化して固まる。
  • 乾性油は、その分子内に不飽和結合 (C=C) を数多くもつ。この炭素間の二重結合に酸素原子が入り込むことで、酸化が起こり熱が発生する。
  • ヨウ素価は、油脂 100g が吸収するヨウ素のグラム数で表され、不飽和結合がより多く存在する油脂ほどこの値が大きくなり、不飽和度が高い。ヨウ素価100以下を不乾性油、100~130を半乾性油、130以上を乾性油という。
  • 乾性油の比重は水 (1) より小さく約0.9である。非水溶性で不飽和脂肪酸を含む。

自然発火する危険物(可燃性粉体の堆積物)

可燃性粉体の堆積物における自然発火について確認していきましょう。

粉体とは、固体 微粉子の集合体を指します。

可燃体の粉体として挙げられる例は以下のとおり。

  • セルロース
  • コルク
  • 粉ミルク
  • 砂糖
  • エポキシ樹脂
  • ポリエチレン
  • ポリプロピレン
  • 活性炭
  • 木炭
  • アルミニウム
  • マグネシウム

これらの堆積物は、空気中の湿度が高く、かつ含水率が大きいものほど、 蓄熱が進み、自然発火に至ることが多い。 発熱と蓄積が進み、自然発火に至ることが多いです。

また、発熱と蓄熱が進む状況をまとめましたので確認してください。

【発熱と蓄熱が進む状況】

  • 空気中の湿度が高く、気温が高いとき
  • 気温が高く、堆積物内の温度が高いとき
  • 物質の表面積が広く、酸素との接触面積が大きいとき
  • 物質の熱伝導率が小さく、保温効果が高いとき

自然発火の危険物乙4過去問題

それではここで、自然発火に関する危険物乙4過去問題を解いてみましょう。

【問1】文章中のA,B,Cの組み合わせで正しいものはどれか。

「ある物質が空気中で常温(20℃)において自然に発熱し、発火する場合の発熱機構は、分解熱、(A) 、吸着熱などによるものがある。分解熱による例には、(B)などがあり、(A)による例の多くは不飽和結合を有するアマニ油、キリ油などの(C)がある。」

番号ABC
1酸化熱セルロイド乾性油
2燃焼熱石炭半乾性油
3生成熱硝化綿不乾性油
4反応熱ウレタンフォーム不乾性油
5中和熱炭素粉末類乾性油

1

【解説】

分解熱による例→ニトロセルロース、セルロイド

酸化熱による例→乾性油、原綿、石炭、ゴム粉

※アマニ油とキリ油は、どちらも植物の種からとった油(乾性油)

【問2】 ヨウ素価について、次のA~Dのうち誤っているものの組合せはどれか。

A. 油脂 100g に付加するヨウ素の質量を単位で表した数値をヨウ素価という。

B. ヨウ素価の値は、油脂中の不飽和脂肪酸の含有量が多く、また、脂肪不飽和度が高いほど値は小さい。

C. 油脂は、不乾性油、半乾性油または乾性油に分類される。

D.不乾性油は、半乾性油や乾性油に比べて自然発火しやすい。

  1. AとB
  2. AとC
  3. BとC
  4. BとD
  5. CとD

4

【解説】

B.誤「値は小さい」、正「値は大きい」

D.ヨウ素価が大きい油脂ほど不飽和結合をもち、乾きやすく自然発火しやすい

ヨウ素価100以下不乾性油
ヨウ素価100~130半乾性油
ヨウ素価130以上乾性油

【問3】自然発火に関する語句の組み合わせとして次のうち誤っているものはどれか。

1.キリ油・・・・・・・・・酸化熱

2.ニトロセルロース・・・・分解熱

3.石炭・・・・・・・・・・酸化熱

4.アルキルアルミニウム・・低発火点

5.原綿・・・・・・・・・・吸着熱

5

【解説】

原綿とは、綿の実からふわふわした部分をあつめたもの。

酸化熱によって自然発火するおそれがある。

【問4】 動物油類の乾性油の他、原線、石炭、ゴム粉、金属粉等は、空気と化合することによって自然発火をおこすが、次のうち、自然発火をおこしにくいものはどれか。

  1. 気温が高く、堆積物内の温度が高いとき。
  2. 湿度が高く、気温が高いとき。
  3. 物質の表面積が広く、酸素との接触面積が広いとき。
  4. 通風が良いところで、乾燥しているとき。
  5. 物質の熱伝導率が小さく、保温効果が良いとき。

4

【解説】

風通しがよく、乾燥していると、可燃性粉体は蓄熱しにくくなるため、自然発火しにくい

【問5】 次のうち、 主に不飽和脂肪酸を有する物質の酸化により、自然発火することがあるものはどれか。

  1. ニトロセルロース
  2. 硫黄
  3. クレオソート油
  4. 活性炭
  5. アマニ油

5

【解説】

  1. 分解熱による発熱で自然発火する
  2. 不飽和脂肪酸を含まないため、自然発火のおそれはない
  3. 不飽和脂肪酸を含まないため、自然発火のおそれはない
  4. 吸着による発熱で自然発火する
  5. アマニ油は不飽和脂肪酸を有し、酸化による発熱で自然発火する

自然発火とは?危険物の現象や物質まとめ

自然発火は、点火源がない状態、 または可燃物が加熱されていない状態であっても、その熱が長時間蓄積されることで 物質が常温の空気中で自然に発熱し、燃焼を起こす現象

➀酸化による発熱乾性油(アマニ油、キリ油等)、原綿、石炭、ゴム粉、鉄粉など

※カリウム、ナトリウムなどの第3類危険物は、リチウムを除き、ほとんどが空気中にあると酸化して自然発火する。
アルキルアルミニウムは発火性を有するため、-50℃以下でも空気と酸化反応を起こして自然発火する。
②分解による発熱セルロイド、ニトロセルロース(第5類危険物)など
③発酵による発熱堆肥、ゴミ、ほし草、ほし藁など
④吸着による発熱活性炭、木炭粉末(脱臭剤)など
⑤その他の発熱エチレンがポリエチレンに重合する際の重合反応熱など

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