危険物とは、以下の表でまとめた消防法の別表第一の品名欄に記載されている物品のこと。
分類 | 主な物品 | 取扱いに必要な免状 | |
---|---|---|---|
第1類 | 塩素酸塩類、過塩素酸塩類、無機過酸化物、亜塩素酸塩類などの酸化性固体 | 乙種1類 | 甲種 |
第2類 | 硫化りん、赤りん、硫黄、金属粉、マグネシウムなどの可燃性固体 | 乙種2類 | |
第3類 | カリウム、ナトリウム、アルキルアルミニウム、黄りんなどの自然性発火性物質と禁水性物質 | 乙種3類 | |
第4類 | ガソリン、アルコール類、灯油、軽油、重油、動植物油類などの引火性液体 | 乙種4類 | |
第5類 | 有機過酸化物、硝酸エステル類、ニトロ化合物などの自己反応性物質 | 乙種5類 | |
第6類 | 過塩素酸、過酸化水素、硝酸などの酸化性液体 | 乙種6類 |
危険物はその性状の違いによって第1類~第6類に区分されています。
今回受験する乙4(乙種4類)の危険物取扱者免状で取り扱える危険物は【第4類】の危険物です。
危険物の分類★火薬や高圧ガスについて
消防法条文では、危険物は、
「別表第一の品名欄に掲げる物品で、同表に定める区分に応じ同表の性質欄に掲げる性状を有するものをいう」
と定義されています。(以下の表および備考参照)
よって火薬や高圧ガスは他の法律で規制されており、消防法の定める危険物には含まれません。
【危険物指定物品「別表第一(消防法第二条、第十条、第十一条の四関係)】
類別 | 性質 | 品名 |
第1類 | 酸化性固体 | 1.塩素酸塩類 2.過塩素酸塩類 3.無機過酸化物 4.亜塩素酸塩類 5.臭素酸塩類 6.硝酸塩類 7.よう素酸塩類 8.過マンガン酸塩類 9.重クロム酸塩類 10.その他のもので政令で定めるもの 11.前各号に掲げる もののいずれかを含有するもの |
第2類 | 可燃性固体 | 1.硫化りん 2.赤りん 3.硫黄 4.鉄粉 5.金属粉 6.マグネシウム 7.その他のもので政令で定めるもの 8.前各号に掲げるもののいずれかを含有するもの 9.引火性固体 |
第3類 | 自然発火性物質 および 禁水性物質 | 1.カリウム 2.ナトリウム 3.アルキルアルミニウム 4.アルキルリチウム 5.黄りん 6.アルカリ金属(カリウム及びナトリウムを除く)及びアルカリ土類金属 7.有機金属化合物(アルキルアルミニウム及びアルキルリチウムを除く) 8.金属の水素化物 9.金属のりん化物 10.カルシウム又はアルミニウムの炭化物 11.その他のもので政令で定めるもの 12.前各号に掲げるもののいずれかを含有するもの |
第4類 | 引火性液体 | 1.特殊引火物 2.第一石油類 3.アルコール類 4.第二石油類 5.第三石油類 6.第四石油類 7.動植物油類 |
第5類 | 自己反応性固体 | 1.有機過酸化物 2.硝酸エステル類 3.ニトロ化合物 4.ニトロソ化合物 5.アゾ化合物 6.ジアゾ化合物 7.ヒドラジンの誘導体 8.ヒドロキシルアミン 9.ヒドロキシルアミン塩類 10.その他のもので政令で定めるもの 11.前各号に掲げるもののいずれかを含有するもの |
第6類 | 酸化性液体 | 1.過塩素酸 2.過酸化水素 3.硝酸 4.その他のもので政令で定めるもの 5.前各号に掲げるもののいずれかを含有するもの |
【別表第一(備考)】
1 酸化性固体とは、 固体 (液体 (1気圧において、 温度20度で 液状であるもの又は温度20度を超え40度以下の間において液 状となるものをいう。以下同じ。) 又は気体 (1気圧において、 温度20度で気体状であるものをいう。) 以外のものをいう。 以 下同じ。)であつて、 酸化力の潜在的な危険性を判断するための 政令で定める試験において政令で定める性状を示すもの又は衝撃 に対する敏感性を判断するための政令で定める試験において政令で定める性状を示すものであることをいう。
2 可燃性固体とは、固体であって、火炎による着火の危険性を判 断するための政令で定める試験において政令で定める性状を示すもの又は引火の危険性を判断するための政令で定める試験におい て引火性を示すものであることをいう。
3 鉄粉とは、鉄の粉をいい、 粒度等を勘案して総務省令で定める ものを除く。
4赤りん、 硫黄及び鉄粉は、 備考第二号に規定する性状を示すものとみなす。
5 金属粉とは、 アルカリ金属、アルカリ土類金属、 鉄及びマグネ シウム以外の金属の粉をいい、 粒度等を勘案して総務省令で定め るものを除く。
6 マグネシウム及び第二類の項第八号の物品のうちマグネシウム を含有するものにあつては、 形状等を勘案して総務省令で定める ものを除く。
7 引火性固体とは、固形アルコールその他1気圧において引火点が40度未満のものをいう。
8 自然発火性物質及び禁水性物質とは、 固体又は液体であつて、 空気中での発火の危険性を判断するための政令で定める試験にお いて政令で定める性状を示すもの又は水と接触して発火し、 若し くは可燃性ガスを発生する危険性を判断するための政令で定める 試験において政令で定める性状を示すものであることをいう。 9 カリウム、ナトリウム、 アルキルアルミニウム、 アルキルリチ ウム及び黄りんは、 前号に規定する性状を示すものとみなす。 10 引火性液体とは、 液体 (第三石油類、 第四石油類及び動植物 油類にあっては、 1気圧において、 温度20度で液状であるもの に限る。) であって、 引火の危険性を判断するための政令で定め る試験において引火性を示すものであることをいう。
11 特殊引火物とは、ジエチルエーテル、 二硫化炭素その他気 圧において、発火点が100度以下のもの又は引火点が零下20 度以下で沸点が40度以下のものをいう。
12 第一石油類とは、アセトン、ガソリンその他1気圧において 引火点が21度未満のものをいう。
13 アルコール類とは、 1分子を構成する炭素の原子の数が1個 から3個までの飽和一価アルコール (変性アルコールを含む。) をいい、組成等を勘案して総務省令で定めるものを除く。
14 第二石油類とは、灯油、 軽油その他1気圧において引火点が 21度以上70度未満のものをいい、塗料類その他の物品であって、 組成等を勘案して総務省令で定めるものを除く。
15 第三石油類とは、 重油、クレオソート油その他1気圧において 引火点が70度以上200度未満のものをいい、 塗料類その他の物 品であって、 組成を勘案して総務省令で定めるものを除く。 16 第四石油類とは、 ギヤー油、シリンダー油その他 1気圧にお いて引火点が200度以上 250度未満のものをいい、 塗料類その 他の物品であって、 組成を勘案して総務省令で定めるものを除 く。
17 動植物油類とは、動物の脂肉等又は植物の種子若しくは果肉 から抽出したものであって、 1気圧において引火点が250度未満のものをいい、 総務省令で定めるところにより貯蔵保管されているものを除く。
18 自己反応性物質とは、 固体又は液体であって、 爆発の危険性を 判断するための政令で定める試験において政令で定める性状を示すもの又は加熱分解の激しさを判断するための政令で定める試験において政令で定める性状を示すものであることをいう。
19 第五類の項第十一号の物品にあっては、 有機過酸化物を含有するもののうち不活性の固体を含有するもので、総務省令で定めるものを除く。
20 酸化性液体とは、 液体であって、 酸化力の潜在的な危険性を判断するための政令で定める試験において政令で定める性状を示すものであることをいう。
21 この表の性質欄に掲げる性状の2以上を有する物品の属する 品名は、 総務省令で定める。
乙4で取り扱える危険物の分類は【第4類危険物】
危険物を取り扱うには危険物取扱者免状が必要です。
免状の種類には甲種、乙種、丙種、の3種類があり、取り扱える危険物も異なります。
免状の種類と資格範囲は以下の通り。
免状 | 取り扱える危険物 | 無資格者の取り扱い (立会い) |
甲種 | すべての危険物 | 全ての危険物の立会い可能 |
乙種(1類~6類) | 免状に指定する類の危険物 | 免状に指定する類における危険物の立会い可能 |
丙種 | ガソリン、灯油、軽油、第三石油類のうち重油、潤滑油および引火点が130℃以上のものに限る。 第四石油類および動植物油類 | 立会いの資格なし |
危険物の分類と性状ポイントまとめ
危険物の分類ポイントこちら!
第1類は酸化性で燃えない個体である(可燃物接触注意)
第2類は可燃性で個体である(火気注意・火気厳禁)
第3類は自然発火・禁水性で個体または液体である(火気厳禁・禁水)
第4類は引火性で液体である(火気厳禁)
第5類は自己反応性で個体または液体である(火気厳禁・衝撃注意)
第6類は酸化性で燃えない液体である(可燃物接触注意)
危険物に気体はない
酸化性(第1類と第6類)
酸化性とは熱や衝撃が加わると酸素を放出して他の物質の燃焼(酸化)を促す性質を指しています。
物体自体は燃えませんが、可燃性の物質に混ざると酸素の供給源となって可燃物を激しく燃やし、爆発などを引き起こす危険な物質です。
可燃性(第2類)
着火しやすく、比較的低温(40℃未満)で引火する性質のことです。
例:硫黄、鉄粉、マグネシウムなど
自然発火性・禁水性(第3類)
空気に触れると自然発火する物質のこと。
一方で禁水性とは水に触れると発火したり可燃性ガスを発生させるものです。
引火性(第4類)
引火性とは、火気を近づけると燃え上がりやすい性質のことです。
自己反応性(第5類)
自己反応性とは、加熱や衝撃、摩擦などによって分解して酸素を放出し、その酸素で物体自体が参加して大量の熱を発生させたり、爆発的に燃焼させたりする性質のことを指します。
後の章でも解説しますが、危険物を貯蔵、取り扱う施設や運搬時の容器には危険物の性状に応じた注意事項を掲示板などで掲示することが定められています。
掲示板はガソリンスタンド⛽などの目につく場所にあります。(火気厳禁、禁水、衝撃注意など)
ぜひ危険物各分類の性状を勉強する上でも、探してみてください。
【next★Webテキスト】
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